これから、あなたが実践していく禁煙法は、禁煙したいというあなたと、それを支援する医師やスタッフさらに禁煙のつらい時期を乗り越えやすくするニコチン貼付(ちょうふ)薬、これら3つからなる新しいものです。
禁煙開始日を決める
禁煙を思い立ったら、今日からでもすぐにタバコをやめられるのか、というと実際にはそう甘いものではありません。最低1〜2週間程度の禁煙準備期間を設け、その上で禁煙を始める日を決めるとよいでしょう。
- 仕事が一段落したときで、時間にゆとりのあるとき
- 盆休みや正月休みなど、禁煙開始日の前後を休みにできるとき
- 誕生日、結婚記念日、年始めなど、自分にとって特別な意味のある日
禁煙理由をあげる
禁煙を成功させるためには、禁煙への意欲を高めることが重要です。あなたが禁煙したいと思う理由について考え、書きだしておきましょう。
喫煙行動を観察する
まず、禁煙の準備として、自分の喫煙行動を観察しましょう。
喫煙行動の観察方法
手帳などを利用して、喫煙行動を以下の要領で記録し、じっくり観察してみましょう。記録は、できれば1週間くらいつけるとよいでしょう。
(注)時間の欄に、起床時間、就寝時間、食事時間についても記入例を参考に記録しておくとよいでしょう。
喫煙行動の観察の効用
喫煙習慣を注意深く観察すると、自分の喫煙パターンがよくわかり、禁煙するのにたいへん参考になります。 タバコを吸いたくなったときにどのように対処したらよいのか、あらかじめ考えておきましょう。
●私の喫煙バターン●
ニコチン依存度をチェツクする
長い間、タバコを吸っている人は、多くの場合、身体的にも心理的にもニコチン依存になっているといわれています。 どれくらい身体的にニコチン依存になっているかを簡単に判定できるのが、「簡易ニコチン依存度テスト」です。
離脱症状とその対処法
禁煙すると、人によって程度の差はありますが、さまざまな離脱症状(いわゆる禁断症状)がでてきます。症状は通常、禁煙後3日以内にピークになり、徐々に消失します。これらの症状の多くは、ニコチンづけになっていた身体のなかから、ニコチンが抜けだすためにみられるものです。
●よくみられる離脱症状とその対処法●
症状 | 対処法 |
タバコが吸いたい | 水を飲む、深呼吸、糖分の少ないガムや干昆布をかむ、軽い運動 |
イライラ落ち着かない | 深呼吸、リラクゼーション法、禁煙後1週間は仕事を減らす |
頭痛 | 足を高くしてあおむけに寝る |
体がだるい、眠い | 睡眠を十分にとる、軽い運動 |
ニコチン貼付薬を上手に使う
1)“ニコチン貼付薬”のニコチネルTTSとは
ニコチネルTTSは、禁煙を困難にしている離脱症状(タバコが吸いたい、イライラなど)に対しニコチンを補充することにより一時的に軽減し、禁煙を容易にすることを目的とした貼り薬です(ニコチン置換療法)。皮膚に貼ることにより、ニコチンが体内に吸収されるように設計されています。ただし、貼るだけで禁煙できる“魔法の薬”ではありません。ニコチネルTTSを使用している間に今までの喫煙習慣に代わる生活習慣を身につけ、禁煙を確実なものにすることが大切です。
薬剤をはがしても数時間は皮膚に残ったニコチンが体内に吸収されます。
2)ニコチネルTTS貼付薬の使い方
ニコチネルTTSは、1日1回24時間、身体の一部に貼るだけです。 禁煙の時期に応じて、使うサイズが異なりますので、下の表をご参照ください。 これらの3種類の薬は、含まれているニコチンの量が異なり、サイズが小さくなるにつれて、ニコチンの量が少しずつ減っていきます。

〈スケジユールについて〉
- この薬は1日に1回貼りかえてください。
- この薬の使用は8週間で終了することを目標とし10週間を超えて使用しないでください。
この薬の使い方
貼る位置を決める
上腕部,腹部,腰背部のいずれかに決め貼る場所をタオルなどでよく拭いて乾燥させます。

〈貼り方について〉
- 傷や皮唐病のある場所、またはベルトラインや体毛の濃い部分は貼らないでください。
- 皮膚刺激を避けるため毎日貼る場所を変え、繰り返し同じところには貼らないでください。
〈入浴、水泳について〉
- 貼ったまま入浴、水泳などはできますが、上から強くこすらないでください。
- 入浴後に貼る場合は、水分を十分に取り除き、乾燥させてから貼ってください。
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□透明フイルムをはずす この袋は子供が容易に取りだせない特殊なフィルムを使用していますので、ハサミで切ってなかの紙袋を取りだしてください。 |
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□薬剤を取りだす 切り込み線に沿って、紙袋を手で開封し、薬剤を取りだします。 ※開封後は、1力月以内に使用すること。 |
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□薬剤を取りやすくする アルミシートの小さいほうを注意して切り取ります。 |
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□シートから薬剤をはがす。 アルミシートをゆっくりとはがします。丸いほうが薬剤です。 ※この薬剤は、切って使用することはできません。 |
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□体に貼リ押さえる 肌にシワができないように伸ぱして貼ります。薬のフチが浮かないように10秒くらい手のひら、指先でしっかり押さえます薬剤は、このまま24時間貼り続けます。 |
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□使い終わったら 接着面を内側にして半分に折り、子供の手に触れないところに捨てます。 |
主治医に必ず伝えて欲しいこと
他に薬を使用している場合(薬局で買った薬も含めて)は、その薬について主治医にお伝えください。
次のような人は、使用する前に主治医に相談してください。
- 狭心症が悪化していたり、最近心筋梗塞の発作を起こしたことのある人
- ひどく脈が不規則な人(重い不整脈の人)
- 最近、脳卒中を起こしたことのある人
- 非喫煙者
- 過去にタバコやニコチンでアレルギー症状を起こしたことがある人
- 妊娠中、妊娠している可能性がある人、または授乳中の人
注意すべきこと
ニコチネルTTSの使用期間中は喫煙しないでください。もし、この薬を貼っているときに喫煙すると、過量のニコチンが摂取される可能性があり、 頭痛、めまい、吐き気などの副作用が現れるおそれがあります。
この薬を使った後気をつけていただくこと(副作用)
・次のような症状に気づいたら、直ちに主治医に連絡してください。
激しいかゆみ、発疹などの皮膚症状、頭痛、ねむれない
・他にも何か身体の具合が変だなと感じたら、主治医または薬剤師に相談してください。(ニコチネルTTSを貼った部位に軽度の発赤やかゆみが発現することがあります)
保管上の注意
- 使用するまでは袋を開けず、高温を避けて保管してください。
- 子供の手の届かないところに保管してください。
喫煙再開を予防する
いったん禁煙に成功しても、ちょっとしたきっかけで喫煙を再開することがあります。 下のような状況には、特に注意が必要です。今までに禁煙したことのある人は、 再びタバコを吸いはじめたキッカケを思い出し、その対策を考えてみましょう。
- アルコール(酒の席)
- 仕事上のストレス
- 対人関係のストレス
- 気分の落ち込み
肥満を予防する
禁煙すると、体重が増える場合があります。通常、2〜3キログラムの増加であるならば、 あまり心配することはありません。しかし、それ以上の場合は、下にあげるような注意を心がけてください。
- 食事は腹八分目に
- 薄味で、あっさりした食事に(油っこいものは避ける)
- 口さみしさを上手にしのぐ(干昆布、糖分のないアメ、ガム)
- 毎日、無理なくできる散歩や運動をする
禁煙継続のための6つのコツ
禁煙を継続するための6つのコツをまとめました。あなたに合った方法で、禁煙を続けましょう。
- タバコの害について自分なりのイメージをもつ
- ラクな気持ちで禁煙を続ける
- 禁煙しようと思った理由や禁煙中の努力を思い浮かべる
- 禁煙できたことに自信をもつ
- 禁煙してよかったことを考える
- まわりの人に禁煙をすすめる
究極の秘訣:ネバーギブアッブ
もし、あなたが禁煙中にタバコを吸ってしまっても、禁煙をあきらめてはいけません。 2〜3度の失敗は通常みられることで、失敗自体を問題にしてくじけたり、 自己嫌悪に陥らないことが重要です。大事なことは、失敗の経験から何を学ぶかということです。 禁煙に成功した人の多くは、成功までに平均3〜4回の禁煙チャレンジを経験しています。